クレジットカードとカードローンに関しては、管轄省庁などの問題もあり話がすこしややこしいのですが、基本的に審査項目などは共通しています。
基本は与信スコアリング
基本的にカードローンの審査もクレジットカードの審査もスコアリングによる与信審査、すなわち「与信スコアリング」に基づいて決まる点は同様だと言えます。
カードローンの与信スコアリングは属性スコアリングと信用情報スコアリングに分けられその合計で借入審査が決まることがよく知られていますが、クレジットカードの「初期与信(スクリーニング)」にも同様の仕組みが採用されています。
初期与信(スクリーニング)の仕組みと項目
クレジットカードの「与信スコアリング」には「初期与信(スクリーニング)」と後述する「途上与信(モニタリング)」が存在しており、クレジットカードの申し込みの際には「初期与信(スクリーニング)」が適用されます。
クレジットカードの初期与信審査はカードローン審査以上に各サービス間の基準差が激しく、スクリーニングのハードルが高いほどブランド力の高いクレジットカードであるということになります。この点はブランド力が高いからスクリーニングが厳しいとも言えますが。
初期与信における審査項目は以下のようになっています。
・年収
・住居形態
・勤務先の規模・役職・勤続年数
・雇用形態
・電話形態
・居住年数・居住形態
・信用情報
各項目を御覧になるとお分かりのように、審査する項目自体は各種カードローンと同様です。
参考:カードローン審査
ただ、各項目毎の基準値などが大きく異なります。
特に問題となるのが「年収」の項目です。
カードローンでは400万円を超えているか、200万を超えているかという点が大きな問題でしたが、クレジットカードではこの点が最も重要視されると言ってもよいでしょう。
ステータスカードなど一定の年収を超えないと存在さえ知らされないカード(センチュリオンカードなど)も存在しており、年収による格差を演出するのもクレジット会社の戦略の1つとなっています。
その他の項目はカードローンの借り入れ審査と同様の基準だと言ってよいでしょう。
信用情報に関しては、クレジットカード会社はCICに照会することがほとんどですが、JICCの会員である会社も多いため、基本的な信用情報は銀行・信販会社・クレジット会社・消費者金融で共有されていると言えます。
参考:カードローンと信用情報
ちなみに、クレジット会社が運営しているカードローンの場合、クレジットカードの入会審査とは別にカードローンの借入審査を行っている会社がほとんどです。
途上与信(モニタリング)の仕組みと項目
初期与信に関していえば、クレジットカードもカードローンもそこまでの違いはないのですが、利用開始後の途上与信に関しては少し違いがあります。
カードローンの場合、返済を遅滞なく行えば信用スコアリングが上がり、金利の低下や借入上限額の増大などのメリットがあり、使用するごとに与信スコアリングは上がっていきます。
クレジットカードの場合も同様ですが、カードローンが初期与信(スクリーニング)が重要であるのに対し、途上与信(モニタリング)が重要である点に大きな違いが出ると言ってよいでしょう。
クレジット会社はカード会員の利用状況などを途上与信(モニタリング)し、延滞発生の防止や販促活動などに役立てます。
現在日本には約300000000(3億)枚のクレジットカードが存在しており、カード稼働率が50%であれば優秀なカードであると言われています。
そのため、クレジット会社は所謂「休眠カード」を減らすために販促活動を行う必要があり、各会員の利用状況などを細かくチェックする必要がある訳です。
静的途上与信と動的途上与信
クレジット会社は途上与信を「静的途上与信」と「動的途上与信」に分けて業務を行っています。
静的途上与信は会員属性情報や利用情報・入金情報・外部信用情報などを詳細に分析し、かいいんごとのリスクや購買動向を把握することで会員ランクを設定し、顧客管理を行う目的でされる与信で、以下の項目が存在しています。
・限度額管理
・適用金利管理
・会員販促
・カード更新管理・再発行管理
・カード利用管理
限度額管理:会員の利用限度額のアップ額を決定します。
適用金利管理:会員個々に優遇利率を決定し、優良会員を見極め優遇利率を的確に適用します。
会員販促:カードの解約防止、未利用原因の追及など顧客の利用状況や嗜好にあったサービスの提供などを行います。
カード更新管理、再発行管理:カードの定期的な更新時や紛失・盗難に伴うカード再発行時に実施する際審査の適正判断を可能とするための業務です。
カード利用管理:口座引き落としなどのマイナス要因をきっかけとしてカード利用の一時停止、強制解約などの措置を実施します。
まとめると、顧客の利用状況から趣味・嗜好を抽出し、それに合わせた販売促進活動を行うことで休眠カードを減らし、稼働率を上げるためにする情報収集と言った感じでしょうか。
続いて動的途上与信には以下のような項目があります。
・利用限度額の特別対応
・カード利用制限
・カード利用モニタリング
利用限度額の特別対応:海外旅行・結婚披露宴・増改築・高額医療費用など、特別な支出が見込まれる際には特別に利用限度額を挙げる措置を指します。
カード利用制限:ショッピング枠の現金化や通常の利用パターンとは大きく異なるカード利用・金融取引などの不適切なカード利用に対する利用制限を行います。
カード利用モニタリング:注意が必要な会員のカード利用をモニタリングし、必要に応じて会員にカウンセリングや注意をする業務を行います。
まとめ
カードローンの借入審査とクレジットカードの申し込み審査は基本的にほぼ同じ項目で審査されます。
カードローンは純粋な貸付を行うサービスですので、貸付をきちんと回収できるかという観点から審査がされるため、利用までの初期審査が重要視されると言えるのに対し、クレジットカードには貸付であるキャッシングとショッピング枠利用を重視する点から、初期与信(スクリーニング)よりも途上与信(モニタリング)を重視する傾向にあります。
両社ともに個々サービスによる審査の基準値は異なりますが、一般的にカードローンの基準差よりもクレジットカードの基準差の方が大きく、その点がクレジットカードのブランド価値につながっているといるとも言えるでしょう。